TSP「TRIBAL SCREAM OF PHOENIX Vol.1」
ベーシストのTAIJIこと、沢田泰司さんが生前、最後に作ったバンド、TSPのベスト盤「TRIBAL SCREAM OF PHOENIX Vol.1」がリリースされました。
私はタワーレコードオンラインで予約、自宅近所のセブンイレブンで受け取りをしました。
タワーレコードの予約特典が、TAIJIさんのピックだったんですよね。
上記画像のリンクで、タワーレコードオンラインでの購入が可能なので、良かったらご利用下さいね。
そして、ピックを添えた画像を…。
このブログでは、アルバムを聴いてのことを書こうと思いますが…。
えっと…。
以降に書くことは、もしかしたら気分を害する人もいるかもしれないので、そのような気持ちになってしまったら申し訳ありません。
ですので、途中でブラウザを閉じるなど、「読みたくない」と思ったら、途中でページから離れて頂ければ幸いです。
TAIJIさんの活動に対しての気持ち
私は中学2年生の春休み、「BLUE BLOOD」のリリース数か月前の時に、Xのインディーズ時代のライブ映像をビデオで見て、TAIJIさんを知りました。
そこで見たTAIJIさんのステージアクションのカッコよさ、ベースの音が鳴っていて、音も含めて前に出てきているカッコよさに一目ぼれしたような状態になって、とにかく衝撃を受けて、あっという間にTAIJIさんが大好きになりました。
XではTAIJIさんしか目に映らなくて…。
そして音源でもとにかくTAIJIさんのベースラインがカッコよすぎて、TAIJIさんの音を拾いながら音源を聴いているうちに、バンドの中でのベーシストの役割だったり、バンド全体のアンサンブルだったり…。
今まで音楽の1つとしてロックを、バンドを聴いているだけでは気づけなかった、バンドの魅力だったり、楽器の魅力だったり、そういうものに気づかせてもらえたって思っています。
でも…。
Xのメジャー2ndの「Jealousy」を聴いて、「私がXに求めているのは、綺麗なサウンドでまとまることじゃなくて、もっとアグレッシブなものだったり、ハードな音楽だったりするんだよね…」と思えて、残念な気持ちになりました…。
そして…。
それからしばらくして、アルバムとしては「Jealousy」を最後にTAIJIさんはXから脱退することになったとのニュースが。
私は「アルバムもあまり好きだと思えなかったし、TAIJIさんもいなくなってしまったのだから」と、Xはそれ以降、すっぱり聴かなくなってしまいました。
その後、TAIJIさんは先輩バンドでもあり、TAIJIさん自身も憧れていたバンド、LOUDNESSに加入するのですが…。
あの当時、ハードロック/ヘヴィメタルという音楽でも大きくムーブメントが変わってきて、グランジロック、オルタナティブロックが(名前に反して)頭角を現してきてたんですよね。
それまで主流でもあった、長髪・革ジャンのような華美なルックス、高速ギター、ハイトーンボーカルが「売り」のようなロックが端に追いやられ、ネルシャツでノーメイク、短髪、スキンヘッドのルックス、サウンドもとにかく重低音だったり、高速ギター、テクニカルなギターよりも「リフ一発で聴かせる」かのようなバンドがメインストリームの音楽になりつつありました。
ヘヴィメタル、メタルという金属音的な高音域のサウンドよりも、ヘヴィロック、とにかくヘヴィさ、重たさを追求したような、中低音域がメインとなる音楽に流れて行ったように思えます。
LOUDNESSは、その流れに見事に乗って行ったのだろうと思うのですが、私自身、あまりヘヴィロックだったり、グランジ、オルタナが好きではなかったのもあり…。
「大好きだったLOUDNESSまでこんな風に変わってしまうのか…」と、失望したこともあり、そこにTAIJIさんが加入したからといって、「それなら聴こう」というトリガーにもならなかったので、自然とLOUDNESSからも、TAIJIさんという存在からも離れて行ってしまったのですが…。
不思議なことに…。
気になるミュージシャンが出てきて、その人の作品を中古CDショップで見つけると、TAIJIさんの名前が載っていたり。
それと、今回のTSPの母体と言っていいのかな…?
TAIJIさんとShuさんが一緒にされていた「CLOUDNINE」も、TAIJIさんの脱退直後ではあったのですが、あるライブ(富士急コニファーフォレストでの「HARD ROCK SUMMIT」)で偶然見たのですが、「今のバンドめちゃめちゃベースがカッコいいな」と感じたんですよね。
当時はスマホなんてなかったので(苦笑)、ライブ後にネット検索すると、CLOUDNINEはTAIJIさんが作ったバンドだと分かったり。
「どおりで、あれだけベースがカッコいいワケだ!」ととても納得しました。
その後もなぜか数年に1回「今、TAIJIさんはどこで何をしているのだろう」と、すっごく気になることがあって、その都度、ネット検索をすると…、ネガティブな状態である様子が感じられたこともあるし、音楽に復帰している様子が見られることもありました。
「…とっても繊細で不安定な人なんだな…」
いつからか、TAIJIさんのことをそう思うようになりました。
「音風」をされていた頃かな?
「これからは、どんな音楽をしていようと、TAIJIさんの活動を見失わないようにしよう」と思って、今までのTAIJIさんがされてきた音楽、私自身がTAIJIさんから離れていた時期の音源を可能な限り集めて、雑誌も可能な限り集めました。
そこで感じたことは…。
これはTAIJIさん相手に限らない話なんですけどね。
自分が何かの時で「この人のプレイ、すごく好きだな」と思ったとしても。
その人が奏でる音楽、バンドの音楽性が必ずしも、自分の好みであるとは言えないと思うんですよね。
出している音は好き。
でも、やっているバンドの楽曲は好きじゃないな…、とか…。
あとやっぱり「バンド」なのでね。
他のパートのミュージシャンの方のサウンドが苦手とか、そういうこともあったりします。
私がTAIJIさんの活動の中で、バンドとしても好きだったなー、というものって、少ないかもしれないんですよね。
- X
- LOUDNESS(後から聴き直して、魅力に気づけました)
- D.T.R
- 音風
上記の4つなんですよね…。
なので、今回のTSPについても、購入をどうしようか、すごく悩みました…。
CLOUDNINEも、TSPも、聴いたことはありますよ。
CLOUDNINEは、ベースがMARUさんの時にライブで見たこともあります。
でもね…、どうも、自分が好きな系統の音楽じゃない、というか…。
よく、ライブハウスから聴こえてくることが多いようなサウンドだなぁって思っていて…。
個々のミュージシャン、やっぱりTAIJIさんがいたバンドって、とにかくベースラインが面白い、そこにすごく個性がある印象はあるんですけど…。
全体として聴いた時に、それ以外に印象に残る部分が私には少なかったんですよね…。
TRIBAL SCREAM OF PHOENIX VOL.1
でも…。
TAIJIさんのご逝去後、雑誌に掲載される、TSPのShuさんとHINAさんのお話を読むと…。
すっごく、すっごく音楽に対しても、TAIJIさんに対しても純粋だなって思えているんですよね。
本気で、TAIJIさんの音楽を残したい、伝えたい、引き継ぎたい気持ちがあるように、いつも感じています。
私はXでTAIJIさんを知ったので…。
X JAPANのライブで、「TAIJI」の名前が出たり、YOSHIKIさんやToshlさんが、「TAIJI…!」と叫んでくれるのも本当に嬉しいです。
X時代の曲は今でも好きですしね。
それでも…。
TAIJIさんのサウンドをしっかり再現してくれる。
X以外でもTAIJIさんはカッコいい曲をたくさん残してくれている中、しっかりと音源としてリリースしてくれる人たちって、TSPだけなんだよねって思えたんですよね…。
「XのメンバーとしてのTAIJI」ではなく、まずは「ベーシストのTAIJI」がいる。
そのTAIJIが残したバンド…。
彼の中でのあらゆる「可能性」を懸けていたバンドがTSPだったように私は思うんですよ。
ただ…。
ただ、私が残念ながら、自分の好みではないサウンドなので、ライブに行くこともしていないんで…。
音楽って「趣味」であり「主観」で聴くもので、結局は「自分の判断軸」で、何を聴く、どう捉えるを決めていいものだと私は思っているので…。
「Xの時に好きだったTAIJIさんのバンドだし。あまり曲とか好きじゃないけど…。
TAIJIさんが作ったバンドだと思うと、好きになれるし、曲もカッコいいと思う」
とか、私には一切意味が分からないんですよ…。
自分の「好き」を、誰かの存在にあてて、プラスの感情を無理に作らなくてもいいと思うんで…。
そういう気持ちもあって、すっごく悩んだんですけどね…。
アルバムを買うことも、こういうブログを書くことも…。
それでも…。
「今回のアルバムには、TAIJIさんのご遺志があるのかもな」と、何となく感じたんですよね。
なので購入して、聴いてみました。
やっぱり…。
TAIJIさんがいたバンドなので、ベースラインがとにかく面白いですし、すごく跳ねているので、楽曲への躍動感だったり、テンポ、激しさや攻撃性…、そういう色んな要素を出しているかのようなベースラインに感じました。
それでも…。
やっぱり、曲がすべて似て聴こえてしまうんですよね、私には…(^-^;
私、アルバムを聴く時には、どのバンドでもそうですけど…。
最初の数曲は歌詞カードというか、ジャケットや写真、参加ミュージシャンや曲順を見たり(あまり歌詞を見ないんですよね、どのバンドも…)、そのバンドの掲載されている記事を読んだり、作曲者や参加ミュージシャンを確認したりなどをしながら聴きます。
それで…。
「こんなの見ている場合じゃない」と、曲に集中させてくれるバンド。
自分の手の動きを止めてくれるバンドって、自分が好きなバンドだと思うんですよ、誰がプレイヤーにいようと、どんなルックスだろうと。
あと、聴いていて、自然と感情が動かされる。背筋がゾクゾクするような高揚感があったり、涙が出そうな感動があったり。
これも、絶対に好きな音楽だと思うんです。
でも、そうでもないバンドもいますよね。
歌詞カードなど、気になるものには目を通し終わったら、別の作業をしながらCDをかけたままにしちゃう。
「ながら作業」にさせてしまって、時々「あ、この曲はいいかもな」と思わせてくれる程度のバンド。
申し訳ないけど…。
TSPは、この最後のたとえに出てくる「ながら作業」をさせてしまうサウンドなんですよね、私にとっては…。
その中で、少し手を止めてくれる要素の大半が、ベースラインの面白さだったりしました。
そして…。
やっぱりね、TAIJIさんが弾いている曲のベースは音の鳴り方が違って感じましたよ。
歌詞カードで確認して「あ、次の曲はTAIJIさんだ」なんて確認しなくても、「お、この曲はカッコいいな、音が」と思って確認すると、「bass:TAIJI」って書いてある…。
もしかしたらそれが…。
TAIJIさんのベースの音が聴こえてくることが「嬉しい」って感じるかなって思って購入したんですけど、むしろ逆で…。
ちょっと寂しかったり、悔しくなってしまったというか…。
何だかやっぱり「バンド」として見ると、まだまだバランスが悪いんじゃないのかなって…。
なので、これ以上はあまり書かない方がいいかなって思っているので、曲別の感想などは書かないでおきます。
もう十分に私の本音は書かせて頂いていますのでね…m(__)m
バンド、ロックの可能性と楽しさ
それでも思ったこと。
TAIJIさんは、ご自身と他のミュージシャンの「スキル差」ってあまり気にしてなかったように思えるんです。
練習を重ねていくしかないし、センスだったり、得意なことだったり、色々と個人差はあることを求める、同等であることを求めるタイプの人じゃなかったように勝手ながら感じています(Xの時はそうではなかったような印象が、YOSHIKIさんの発言からは垣間見えますが…)。
でも…。
その…、一緒にバンドをやっていたミュージシャンたちが持つ可能性や個性は…。
その本人たちが気づいていなくても、TAIJIさんはどこまでも信じていたんじゃないかって思うんですよね…。
だからこそ…。
完全に憶測でしかないけど、ちょっとだけ感じたことがあって…。
やっぱりTAIJIさんは…、もっと生きたかったと思う。
悔しかったと思うんだよね、急に天国に行かなければいけなくなってしまったことが…。
紆余曲折、色んなことがあったと思うんです…。
その中で、「やっぱり自分はしっかりと仲間たちとバンドをやっていこう」って、どこか決意しかけた矢先に…。
行先変更を余儀なくされてしまったんじゃないかなって、そう思えているんですよね、実はTAIJIさんが亡くなった時からずっと…。
それから時間は経ったけど…。
こうして、大切に想っていたバンド、仲間が、ベスト盤をリリースしてくれたことは、TAIJIさんは本当に嬉しかったんじゃないかなって思っています。
単純、私があまり好みのサウンドじゃないだけだから(苦笑)、それは「個人の趣味の問題」だと思って欲しいんですけど…。
Xだけじゃないんでね、TAIJIさんは。
そして、とっても広い心でバンドをされていて、とってもロックが、音楽が、バンドが大好きだったんだ、ということを…。
それを音楽や、インタビューなどを通じて伝えることが出来るのは…。
間違いなく、このTSPだと私は思っているんです。
ちょっとね、バンドの評価として、すっごく複雑な気持ちを読んでいる方々に与えてしまったら非常に申し訳ないんですけど…。
いい意味で、肩書きがないような状態での、シンプルな「ベーシスト TAIJI」としての、とってもピュアで真っ直ぐなベースサウンドが、しっかりと詰まっている作品だと思えるんです。
それはベースがTAIJIさんではない曲でも、同等に感じています。
晩年の…、本当に紆余曲折あった人生の中で…、やっとやっと素直に…。
「バンドって、ロックって、こんなにも可能性があって、楽しいんだぜ!」って、笑顔でベースを弾いている、真剣な表情でバンドと向き合っているようなTAIJIさんの想い、音楽が詰まっているような作品には感じたんですよね。
うまく言えないんですけど…。
X以外のTAIJIさん、そして、ベーシストとして、バンドプロデューサーとしてのTAIJIさんを感じることが出来る作品だと思うので…。
多くのTAIJIさんファンに聴いてもらいたい、感じてもらいたいなって思っています。
本当に複雑な想いではあるんだけど…(苦笑)。
聴けてよかったなって思っています。
「あまり好きなサウンドじゃないしな…」と思って、購入しない、聴かないままにしないで、良かったなって思っています。
本当に…。
いい仲間に今でも愛されて、大切に想ってもらえて…。
多くのファンがいるTAIJIさんは、幸せですね。
何で生き急いでしまったんでしょうね、本当にもったいない…。
悔しかったら…。
あなたは不死鳥なんですから、いつでも…、生き返って戻ってきて下さい。
でも…、あなたの代わりに、きっとTSPが…。
あなたのファンの私たちが、あなたの音楽を遺していけるよう、引き継ぎますから、しっかりとお空から見守っていてください。
TAIJIさん。
久しぶりのアルバムリリース、本当におめでとうございます。
そして何よりも。
メンバーチェンジを繰り返しながらでも、しっかりとバンドをずっと続けて下さっているギターのShuさん、ドラムスのHINAさん。
お二人がTAIJIさんの最後のバンドのメンバーで本当に良かったです…!
本当にありがとうございました…!
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